志美 「あの頃は、なんと気楽だったことだろう。物事も、善悪も、何もかも
真っ平らで単純で、生きるか死ぬかの二択しかなくて。…(略)…
それはとても楽だ。考えなくていい。悩まなくていい。動物と同じ。
人間じゃない楽さ。」
一度読んだはずなのに、ほとんど忘れている中で、
この「劉志美」という名前も、何故か記憶にあります。
志美のこの言葉、あぁ、本当にそうだ…と思いながら読みました。
どうにも辛くなる時、自分の頭の中だけで、座標軸を「生きるか死ぬか」の
二択にして、やり過ごすことがあります。
動物レベルになって。
歳を取って嬉しいのは、そんなことをしても、もうあまり後ろめたさがないこと。
戦争の時代を「あの頃は良かった…」なんて思うのは、哀しいけれど、
生きることが死ぬより辛く思えることがあるので、この志美の言葉は
身に染みました。