「歳出面の慢性疾患とは
橋爪 もう一度、国家財政の話に戻りましょう。
先ほどは、歳入面での慢性疾患についてお聞きしました。では、歳出面についてお聞きすれば、国の歳出で慢性疾患と言える部分はどこですか。
小林 社会保障関係費と地方交付税交付金ですね。他の費用は、国会で決議されれば削ることができます。しかし、この二つはそうはいかない。社会保障関係費で言えば、年金支給額を減らすわけにはいきませんし、地方交付税交付金も、行政サービスの地域間格差の解消を目的とするものですので、そう簡単には減らせません。
小林 ちょっと聞いたことがありません。
(略)
小林 日本の場合、「国土の均衡ある発展」を目標としてきたため、政府の政策も、地域間格差をなるべく小さくする前提で立案されています。ですから、この目標を転換しなければ、地方交付税交付金を縮小するための議論にはなかなか踏み込めない。しかも、地域の行政サービスに必要な財源をその自治体で全て賄うことになれば、地域間格差が生じるのは避けられません。
小林 その可能性が高い。しかし日本では、自治体の破綻は原則としてないこととされています。自治体の破綻、すなわち、「自治体が地方債や借入金を返せなくなるという状態」は日本の法制度上は、想定されていないのです。(略)
しかし、最後は政府が尻拭いをしてくれる、と思っているから、自治体の財政運営は無駄が多く、合理化が進まない。
橋爪 私もそう思います。
小林 国の財政が破綻しそうになっても、おそらく地方交付税交付金を出し続けることになるでしょう。地方自治体の行政は福祉など国民生活に直結しているので、お金がないからとめるというわけにはいかないからです。(略)
小林 地方自治体の財政を圧迫する要因としてよく指摘されるのが、生活保護です。各自治体はその支給額の四分の一を負担し、残り四分の三は国が負担することになっているのですが、実際には地方交付税が足りず、不足分を自治体が捻出するということが起きている。
橋爪 その結果、生活保護の申請それ自体をなるべくさせない「窓口規制」が行われたりしている。
橋爪 地方自治体の財政も相当、硬直化しているのですね。
国家財政に話を戻しましょう。一般会計の歳出の内訳を見ると、国債費地位うものがます。その中身は何でしょうか。
小林 債務の償還と利払いです。平成二二年度で言うと国債費は約二〇兆円で、今は二十数兆円です。
橋爪 内訳はどうなっていますか。
小林 債務償還と利払いそれぞれに一〇兆円ほどです。
橋爪 債務償還の金額は毎年、ほぼ同じですね。(略)
(略)
橋爪 波はあるにせよ、おおむね予定通りに行くわけですね。では、利払いのほうはどうでしょうか。
小林 こちらは、ある時期まで減っていたのですが、今は相当大変です。金利の動がその理由で、バブルのころは金利が高かったわけですが、それがゼロ金利まで下がっていったので、利払い費も減っていった。ところがこれからは、金利も底を打ったので上がるしかない。このため、国債の利払い費も増えていく。しかも、国債残高が増えていますから、それによっても利払い費が増える。この二つの要因で、利払い費は加速度的に増えていくはずです。
橋爪 利払い費はいま、一〇兆円で済んでいるわけですが、現在、その利率は何%ですか。
小林 一〇年もの国債に限って言うと、以前は三~四%だったのが、今は〇・六%にまで下がっています。しかし、これが再び上がるようなことになれば、利払い費もまた増えてしまう。
ただ、現在(二〇一三年秋)の〇・六%という利子率は史上空前の出来事です。なぜ、こんなことが起きるのかというと、日銀が猛烈な勢いで国債を買っているからです。そうなると国債の価格が上昇し、利子率が下がる。今や、一〇年もの国債の利子率は〇・五%に達しようとしています。
小林 はい、日銀券はその分、民間銀行へ回っているはずです。
小林 今のところはそうですね。」
〇少しだけ感想。
これまで読んでくると、増税しなければならない必要性は、
ヒシヒシとわかります。
でも、一番の疑問は、今までの税金は、本当に必要なことに使われているのか?
ということなのです。
正確な情報かどうかは、わかりませんが、日本の議員報酬は、世界基準で見ると、かなり高額だと聞いたこともあります。
もっと、しっかり税金を使ってほしい。その上で、本当に必要なら、増税してほしい、と思うのです。
でも、それをしようとした、民主党はすぐにダメ出しされ、今も自民党が力を持っています。自民党に例えば、議員報酬が高すぎるからといって、報酬を下げる…などは出来ないでしょう。先日も、ゴリ押しして、参議院の定数を増やしたばかりです。
でも、そんな堂々巡りの結果、結局増税も出来ず、真っ当な税金の使われ方もされず、経済敗戦に向っている今の国の姿は、本当に、戦争を続ける意味などない、と解っていながら、続けるしかなかった、戦時中の姿に重なります。