読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

街場の天皇論(改憲のハードルは天皇と米国だ)

「参院選挙で改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、改憲の動きが出てきたタイミングで、天皇の「生前退位」の意向が示されました。時期的に見て、それなりの政治的配慮があったはずです。2016年8月8日に放映された「おことば」をよく読み返すと、さらに…

街場の天皇論 (「私が天皇主義者になったわけ」)

〇 ブログ「内田樹の研究室」以外のタイトルは、「あとがき」も含め12タイトルあるのですが、その中から、3タイトルだけ、メモしておこうと思います。 「Ⅰ死者を背負った共苦の「象徴」 私が天皇主義者になったわけ —— 2016年8月8日の「おことば」…

街場の天皇論

〇 目次の中で、ブログ「内田樹の研究室」にあるものについては、 タイトルだけを載せておきます。 Ⅰ 死者を背負った共苦の「象徴」 天皇の「おことば」について(ブログ「内田樹の研究室」2016年12月23日) 「民の原像」と「死者の国」(ブログ 2…

街場の天皇論

〇 山本七平著 「昭和天皇の研究」の最後の方に、美濃部博士の言葉が紹介されていました。 「……すべて国家には国民の国家的団結心を構成する中心(国民統合の象徴)がなければならず、しかして我が国においては、有史以来、常に万世一系の天皇が国民団結の中…

昭和天皇の研究 その実像を探る  (終章 「平成」への遺訓)

「憲法改正に反対した美濃部博士 「正論」はなかなか社会に受け入れられない。一木喜徳郎男爵、美濃部達吉博士、津田左右吉博士のような、戦時中に右翼や軍部から「大逆賊」と攻撃され、あるいは辞職に追い込まれ、あるいは起訴されて法廷に立たされた人たち…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「戦争責任」=「敗戦責任」としての考察 しかし、本書はあくまでも、天皇の自己規定の「研究」であるから、「長崎市長がこう言った」「誰がああ言った」は除外し、天皇ご自身がどう考えておられたかの探求に進みたい。 だがその前にこの「戦争責任」とい…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「おれの息子は、天皇のために死んだ」 本島長崎市長は、朝日新聞で「(自分の発言に対する)支持の手紙には、戦争は国民が「天皇の御ために」と実践し、天皇もそれを知っていたはずという内容のものが多い。天皇の責任の問題は庶民の大多数の心にあるんで…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「津田博士が指摘する「自然のなりゆき」 ここで津田左右吉博士の言葉に耳を傾けよう。前にも引用した「世界」の論文(264ページ参照)は、昭和二十一年の四月号掲載で、野坂参三が凱旋将軍のように延安から帰国し、五月十二日のデモでは、赤旗が坂下門か…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「アジアで唯一の憲法保持国として 「憲法絶対」という態度を、天皇は一貫して変えていない。戦前・戦後の役割について「私は精神的にはなんらの変化もないと思う。常に憲法を厳格に守るように行動してきた」という昭和四十七年九月のお言葉は、まさにそのと…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「天皇は戦争を止められるのに、なぜ止めなかった」 天皇にも、「憲政の伝道師」という意識はあったであろうか。私の勝手な想像だが、天皇にはそういう意識はなかったと思う。(略) 考えてみれば、これは実に不思議なこと、人類史上、これを行ったのは昭…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

〇中断していた「昭和天皇の研究」のメモを続けます。 (十三章のつづきです。) 「十四章 = そして「戦争責任」をどう考えるか 歴史的”功罪”を論ずることのむずかしさ 歴史上の功罪の評価は、非常にむずかしい問題である。というのは、「功」は裏返せば「…

ホモ・デウス(下) (訳者 あとがき)

〇 「ホモ・デウス(下)」の謝辞のあとに、「訳者あとがき」がありました。 「ホモ・デウス(下)」は、連なる言葉を単純に読んでいくと、イメージの中に悲しい未来の光景が広がり、悲観的な気持ちになってしまいます。 でも、この「訳者あとがき」を読むと…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「データフローの中の小波 データ至上主義にも当然、批判者や異端者がいる。第3章で見たように、生命が本当にデータフローに還元できるかどうかは疑わしい。とりわけ、現時点ではデータフローがなぜ、どのように意識と主観的経験を生み出しうるのかは皆目わ…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「記録し、アップロードし、シェアしよう! だが、ことによるとわざわざあなたを説得するまでもないのかもしれない。あなたがニ〇歳前ならなおさらだ。人々はひたすらデータフローの一部になりたがっている。それがプライバシーや自律性や個性の放棄を意味す…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「情報は自由になりたがっている 資本主義同様、データ至上主義も中立的な科学理論として始まったが、今では物事の正邪を決めると公言する宗教へと変わりつつある。この新宗教が信奉する至高の価値は「情報の流れ」だ。もし生命が情報の働きで、私たちが生命…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「歴史を要約すれば データ至上主義の視点に立つと、人類という種全体を単一のデータ処理システムとして解釈してもいいかもしれない。一人一人の人間はそのシステムのチップの役目を果たす。そう解釈すれば歴史全体を、以下の四つの基本的な方法を通してこの…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「権力はみな、どこへ行ったのか? 政治学者たちも、人間の政治制度をしだいにデータ処理システムとして解釈するようになってきている。資本主義や共産主義と同じで、民主主義と独裁制も本質的には、競合する情報収集・分析メカニズムだ。(略) これは、ニ…

ホモ・デウス (下) (第11章 データ教)

「データ至上主義では、森羅万象がデータの流れからできており、どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まるとされている。(略)データ至上主義は科学における二つの大きな流れがぶつかり合って誕生した。 チャールズ・ダーウィンが「…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「宇宙がぶら下がっている釘 テクノ人間至上主義は、さらに別の恐ろしい脅威に直面している。人間至上主義のあらゆる宗派と同じで、テクノ人間至上主義も人間の意志を神聖視し、それを全宇宙がぶら下がっている釘と見做している。テクノ人間至上主義は、私た…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「恐れの匂いがする 医師や技術者や消費者が、精神疾患の治療とWEIRD社会での生活の享受に専念しているかぎり、標準未満の精神状態とWEIRDの心を研究していれば、私たちの必要は十分満たされたのかもしれない。標準的な人を対象とする心理学は、標準からの逸…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「その新しい宗教は、アフガニスタンの洞窟や中東のマドラサ(訳註 イスラムの諸学を学ぶための高等教育機関)からは現れ出てきそうにない。むしろ、さまざまな研究所から出現しそうだ。社会主義が蒸気と電気を通しての救済を約束して世界を席巻したのとちょ…

ホモ・デウス (下)

「不平等をアップグレードする ここまでは、自由主義に対する三つの実際的な脅威のうち、二つを見て来た。その第一は、人間が完全に価値を失うこと、第二が、人間は集団として見た場合には依然として貴重ではあるが、個人としての権威を失い、代わりに、外部…

ホモ・デウス (下)

「マイクロソフトは、「cortana(コルタナ)」と呼ばれる、それよりもはるかに高性能のシステムを開発している。(略) ユーザーはコルタナに自分のファイルやメールやアプリへのアクセスを許すことを奨励される。コルタナがユーザーを知り、それによって、無…

ホモ・デウス (下) (第9章 知能と意識の大いなる分離)

〇 再び下巻を借りたので、前回メモできなかった部分をメモしておきます。 この前の部分は、こちらです。 「巫女から君主へ グーグルやフェイスブックなどのアルゴリズムは、いったん全知の巫女として信頼されれば、おそらく代理人へ、最終的には君主へと進…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「魔女狩り 私たちは科学を、世俗主義と寛容の価値観と結びつけることが多い。それならば、近代前期のヨーロッパほど科学革命発祥の地として意外な場所はないだろう。コロンブスやコペルニクスやニュートンの時代のヨーロッパは、宗教的狂信者が最も集中して…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「聖なる教義 実際には、倫理的な判断と事実に関する言明は、いつも簡単に区別できるわけではない。主教に歯、事実に関する言明を倫理的な判断に変え、深刻な混乱を生み、比較的単純な議論であってしかるべきだったものをわかりにくくする、根強い傾向がある…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「神を偽造する 宗教が前よりよくわかったところで、宗教と科学の関係の考察に戻ることができる。この関係には、二つの極端な解釈がある。一方の見方では、科学と宗教は不倶戴天の敵同士で、近代史は科学の知識と宗教の迷信との死闘で形作られたことになる。…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第5章 科学と宗教というおかしな夫婦 物語は人間社会の柱石の役割を果たす。歴史が展開するにつれ、神や国家や企業にまつわる物語はあまりに強力になったため、ついには客観的現実まで支配し始めた。(略) もちろん、科学理論は新種の神話だ、私たちが科…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「紙の上に生きる 書字はこのようにして、強力な想像上の存在の出現を促し、そうした存在が何百万もの人を組織し、河川や湿地やワニのありようを作り変えた。書字は同時に、人間にとってそうした虚構の存在を信じやすくもした。書字のおかげで、人々は抽象的…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える 第4章 物語の語り手 オオカミやチンパンジーのような動物は、二重の現実の中で暮らしている。一方で、彼らは木や岩や川といった、自分の外の客観的なものをよく知っている。他方で、恐れや喜びや欲求といっ…