読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「 夢と虚構が支配する世界 サピエンスが世界を支配しているのは、彼らだけが共同主観的な意味のウェブ―― ただ彼らに共通の想像上の中にだけ存在する法律やさまざまな力、もの、場所のウェブ —— を織り成すことができるからだ。人間だけがこのウェブのおかげ…

ホモ・デウス 上 (第3章 人間の輝き)

「チャウシェスクとその一派が二〇〇〇万のルーマニア人を四〇年間支配できたのは、三つの不可欠な条件を満たしていたからだ。 第一に彼らは、軍や種別組合、さらにはスポーツ協会まで、あらゆる協力ネットワークを忠実な共産党員の役人に管理させた。 第二…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「賢い馬 二〇一〇年、科学者たちはラットを使った並外れて感動的な実験を行った。彼らは一匹のラットを小さなケージに閉じ込め、それをずっと大きなケージに入れ、別のラットが大きなケージの中を自由に動き回れるようにした。 閉じ込められている方のラッ…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「実験室のラットたちの憂鬱な生活 心とは何かを検討し、じつは心についてはほとんどわかっていないことを知ったところで、人間以外の動物に心があるかどうかという疑問に戻ることにしよう。犬をはじめ、いくつかの動物は、チューリングテストの修正版に間違…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「ことによると、生命科学はこの問題を間違った角度から眺めているのかもしれない。生命科学では、生命とはデータ処理に尽きる、生き物は計算を下す機械であると考えられている。とはいえ、生き物とアルゴリズムとの間のこの類似性は、私達を誤った方向に導…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「チャールズ・ダーウィンを怖がるのは誰か? 二〇一二年のあるギャラップ世論調査によると、ホモ・サピエンスが神の介入をいっさい受けずに、自然選択だけによって進化したと考えるアメリカ人はわずか一五パーセントしかおらず、三二パーセントが、人間は何…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第3章 人間の輝き 人間がこの世界でいちばん強力な種であることは疑いもない。ホモ・サピエンスは、自分がひときわ高い道徳的地位を享受し、人間の命はブタやゾウやオオカミの命よりもはるかに価値があるとも考えたがる。だが、果たしてそれが正しいかは…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「五〇〇年の孤独 近代の科学と産業の台頭が、人間と動物の関係に次の革命をもたらした。農業革命の間に、人間は動植物を黙らせ、アニミズムの壮大なオペラを人間と神の対話劇に変えた。そして科学革命の間に、人類は神々まで黙らせた。この世界は今や、ワン…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「生き物はアルゴリズム ブタのような動物が欲求や感覚や情動の主観的世界を現に持っていると、どうすれば確信できるのか?(略) 情動はあらゆる哺乳動物(そして鳥類のすべてと、おそらく一部の爬虫類、さらには魚類までも)が共有している。すべての哺乳…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「祖先の欲求 聖書も、そこに示された、人間は独特であるという信念も、農業革命の副産物だった。この革命によって、人間と動物の関係は新しい段階に入ったのだった。(略)ところが、何百年、何千年と月日が流れるうちに、家畜という新奇な生命体が優勢にな…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する ほかの動物たちにしてみれば、人間はすでにとうの昔に神になっている。私たちはこれについてあまり深く考えたがらない。なぜなら私たちはこれまで、とりたてて公正な神でも慈悲深い神でもなかったからだ。(略) …

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「知識のパラドックス 二一世紀には人類は不死と至福と神性を目指して進むという予測に腹を立てたり、疎ましさを覚えたり、恐れをなしたりする人が少なからず出るかも知れないので、いくつか説明しておく必要がある。 第一に、不死と至福と神性を目指すとい…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「怖れ、うつ、トラウマは、砲弾や仕掛け爆弾や自動車爆弾の類が原因ではない。ホルモンや神経伝達物質や神経ネットワークが引き起こすのだ。二人の兵士がいっしょに待ち伏せ攻撃を受けたとしよう。 一人は極度の恐怖で凍り付き、正気を失い、その後何年も悪…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「幸福に対する権利 人類の課題リストに入る二つ目の大きなプロジェクトはおそらく、幸福へのカギを見つける事だろう。歴史を通して、無数の思想家や預言者や一般人が、生命そのものよりもむしろ幸福を至高の善と定義してきた。古代ギリシアの哲学者エピクロ…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「死の末日 二一世紀には、人間は不死を目指して真剣に努力する見込みが高い。老齢や死との戦いは、飢饉や疾病との昔からの戦いを継続し、現代文化の至高の価値観、すなわち人命の重要性を明示するものにすぎない。(略) 歴史を通して、宗教とイデオロギー…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「ジャングルの法則を打破する 第三の朗報は、戦争もなくなりつつあることだ。歴史を通してほとんどの人間にとって、戦争は起こって当然のものであり、平和は一時的で、いつ崩れてもおかしくない状態だった。(略) ところが二〇世紀後半に、このジャングル…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「二世紀後の一七七八年一月一八日、イギリスの探検家ジェイムズ・クック船長がハワイに到達した。ハワイの島々は人口密度が高く、五〇万もの人がいた。(略) クック船長とその部下たちは、インフルエンザと結核と梅毒の病原体を初めてハワイに持ち込んだ。…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「生物学的貧困線 飢饉から始めよう。飢饉は何千年も前から人類の最悪の敵だった。最近まで、ほとんどの人が生物学的貧困線ぎりぎりのところで暮らしてきた。(略) 古代のエジプトや中世のインドでは深刻な旱魃に襲われると、人口の五パーセント、あるいは…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「三〇〇〇年紀(西暦二〇〇一~三〇〇〇年)の夜明けに、人類は目覚め、伸びをし、目を擦る。恐ろしい悪夢の名残りが依然として頭の中を漂っている。「有刺鉄線やら巨大なキノコ雲やらが出てきたような気がするが、まあ、ただの悪い夢さ」。 人類はバスルー…

ホモ・デウス (上) —— テクノロジーとサピエンスの未来

ユヴァル・ノア・ハラリ著 「ホモ・デウス」(上)を読み始めました。 図書館で借りて読むため、先に順番が回って来た(下)は既に読み終わっています。 先ず 目次を載せておくことにします。 第1章 人類が新たに取り組むべきこと 生物学的貧困線 / 見えな…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「文化的統合の象徴としての天皇 では天皇とは何なのか。戦前・戦後という題激変の間、一貫して変わらなかった津田左右吉博士の説を援用すれば、昔も今も「人間(アラヒト)・象徴」であるということになろう。 そしてその思想は、上代の日本人の「生活の座…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「「アラヒトガミ」の思想は、どこから生じたか こういう「生活の座(ジッツ・イン・レーベン)」で生きている日本人のところへ、中国から文字が入って来た。文字が入って来たことによって「記紀・万葉」が記されるようになった。もちろんそれ以前の記述があ…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「「仁徳天皇の御仁政」の伝説は、どこから生まれたか 一方、津田博士は、「日本書紀の記事の解釈であり」、それへの「非難なんであります」と言って「仁徳天皇の御仁政に関する日本書紀記載の本文」について詳しく記している。 有名な「朕高台に登りて以て…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「「記紀」入門のための、絶好のテキスト 今日では公判記録が公表されているので、津田博士の立場はよく分かる。氏は「学問の性質とその研究法とを、問題とせられたことがらについて、出来るだけていねいに、説明しよう」という態度を以て公判廷に臨まれ、裁…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「津田博士の神代上代史観 この津田左右吉博士は、東宮御学問所で裕仁親王に歴史を教えた前出の 白鳥庫吉博士の高弟、いわば、歴史学では天皇の先輩である。その彼の上代史に関する研究は、しばしば東大右翼学生の批判の的となり、時には「つるしあげ」のよ…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「十三章 「人間(アラヒト)」・「象徴」としての天皇 =古来、日本史において果たしてきた天皇家の位置と役割 「文化的問題」としての天皇 ここまでの記述や、また前記の一木・美濃部学説からの引用(187ページ参照)を読めば、誰でも少々首をかしげる…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「陸相人事に見せた、天皇の警告的御希望 (略) ただこの「御希望」がもし、「意に満たぬものを持ってきたら裁可しないぞ」となったらどうであろうか。 昭和十四年八月、独ソの電撃的な不可侵条約の締結に、平沼内閣は「欧州の天地は複雑怪奇な新情勢」と声…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「十二章 立憲君主の”命令” = 国難近し、天皇に与えられた意思表示の手段とは 白川大将に示した、天皇の精一杯の”褒賞” 福沢諭吉は「帝室論」で次のように記した。 「帝室は政治社外のものなり。いやしくも日本国に居て政治を談じ政治に関する者は、その主…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「二代目 — 卑屈から一転して増長慢 「(乙)第二代目ころの世態民情 明治二十七、八年の日清戦争後は、以前の卑屈心に引き換え、驕慢心がにわかに増長し、前には師事したところの支那も、朝鮮も、眼中になく、その国民をヨボとかチアンコロなどと呼ぶようにな…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「十一章 三代目・天皇と、三代目・国民 = 尾崎行雄が記した国民意識の移り変わりと天皇の立場 対中国土下座状態の一代目 前述のように、尾崎行雄は安政五年(一八五八年)の生まれ、杉浦重剛より四歳年下だが、ほぼ同世代と言ってよい。この時代の人々の特…