読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日記

サピエンス全史  上 <想像上の秩序>

(つづき) 「ハンムラビ法典は、バビロニアの社会秩序が神々によって定められた普遍的で永遠の正義の原理に根差していると主張する。このヒエラルキーの原理は際立って重要だ。この法典によれば、人々は二つの性と三つの階級(上層自由人、一般自由人、奴隷…

サピエンス全史  上 <想像上の秩序>

(つづき) 「紀元前221年、秦朝が中国を統一し、その後まもなく、ローマが地中海沿岸を統一した。秦は4000万の臣民から取り立てた税で、何十万もの兵からなる常備軍と、10万以上の役人を抱える複雑な官僚制を賄った。 ローマ帝国はその全盛期には…

サピエンス全史  上 <想像上の秩序>

〇この<想像上の秩序>は、とても興味深い内容でした。 「農耕民が生み出した余剰食糧と新たな輸送技術が組み合わさり、やがて次第に多くの人が、最初は大きな村落に、続いて町に、最終的には都市に密集して暮らせるようになった。そして、それらの村落や町…

サピエンス全史  上 <未来に関する概念>

「農耕民の空間が縮小する一方で、彼らの時間は拡大した。狩猟採集民はたいてい、翌週や翌月のことを考えるのに時間をかけたりしなかった。だが農耕民は、想像の中で何年も何十年も先まで、楽々と思いを馳せた。 狩猟採集民が未来を考慮に入れなかったのは、…

サピエンス全史  上 第6章 神話による社会の拡大

「農業革命は歴史上、最も物議を醸す部類の出来事だ。この革命で人類は繁栄と進歩への道を歩み出したと主張する、熱心な支持者がいる。一方、地獄行きにつながったと言い張る人もいる。(略) 農耕へ移行する前の紀元前一万年ごろ、地上には放浪の狩猟採集民…

サピエンス全史  上 <革命の犠牲者たち>

「野生のヒツジを追い回していた放浪の生活集団は、餌食にしていた群れの構成を少しずつ変えていった。おそらくこの過程は、選択的な狩猟とともに始まったのだろう。」 「人類が世界中に拡がるのに足並みを揃えて、人類が家畜化した動物たちも拡がって行った…

サピエンス全史  上 <聖なる介入>

「以上の筋書きは、農業革命を計算違いとして説明するものだった。じつに説得力がある。(略)だが、生産違い以外の可能性もある。農耕への移行をもたらしたのは、楽な生活の探求ではなかったかもしれない。 サピエンスは他にも強い願望を抱いており、それら…

サピエンス全史  上 <贅沢の罠>

「この変化は段階を追うもので、各段階では、日々の生活がわずかに変わるだけだった。」 「他の多くの哺乳動物と同じで、人類は繁殖を制御するのを助けるホルモンや遺伝子の仕組みを持っている。」 「他にも、完全な、あるいは部分的な性的禁欲(文化的タブ…

サピエンス全史 上  第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇

「人類は250万年にわたって植物を採集し、動物を狩って食料としてきた。そして、これらの動植物は、人間の介在なしに暮らし、繁殖していた。」 「ホモ・サピエンスは、東アフリカから中東へ、ヨーロッパ大陸とアジア大陸へ、そして最後にオーストラリア大…

サピエンス全史  上 <ノアの方舟>

「最大の被害者は毛皮で覆われた大型の動物たちだった。認知革命の頃の地球には、体重が50キログラムを超える大型の陸上哺乳動物がおよそ200属生息していた。それが、農業革命の頃には、100属ほどしか残っていなかった。 ホモ・サピエンスは、車輪や…

サピエンス全史  上 <オオナマケモノの最期>

「だが、その後には、なおさら大きな生態学的惨事が続いた。(略) 寒さに適応したネアンデルタール人たちでさえ、もっと南のそれほど寒くない地方にとどまった。だがホモ・サピエンスは、雪と氷の土地ではなくアフリカ大陸のサバンナで暮らすのに適応した身…

サピエンス全史 上 <告発のとおり有罪>

「気候の気まぐれな変動(このような場合のお決まりの容疑者)に責めを負わせて私たちの種の無実の罪を晴らそうとする学者もいる。(略) 第一に、オーストラリア大陸の気候はおよそ4万5千年前に変化したとはいえ、それはあまり著しい変動ではなかった。(…

サピエンス全史 上  第4章 史上最も危険な種

「第4章 史上最も危険な種 認知革命以前には、どの人類種ももっぱらアフロ・ユーラシア大陸(訳注 アフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせた大陸)で暮らしていた。(略) 地球という惑星は、いくつかの別個の生態系に別れており、そのそれぞれが、特有の動…

サピエンス全史 上 <沈黙の帳>

「古代狩猟採集民の生活の全体像を復元するのが難しいとすれば、具体的な出来事はほぼ回復不能だ。」 「それでもなお、答えが得られないような問いを発することは不可欠だ。そうしなければ、「当時の人々は重要なことは何もしなかった」などという言い訳をし…

サピエンス全史 上 <平和か戦争か?>

「最後に、狩猟採集民社会における戦いの役割という、厄介な疑問がある。古代の狩猟採集社会は平和な楽園だと思い、戦争や暴力は農業革命に伴って、すなわち、人々が私有財産を蓄え始めた時に、初めて現れたと主張する学者がいる。 一方、古代の狩猟採集民の…

サピエンス全史 上 <口を利く死者の霊>

「だが私たちが導き出せるのは、このような慎重な一般論がせいぜいだ。太古の霊性の具体的な点を記述しようとする試みはすべて、不確実極まりない。(略) 狩猟採集民がどう感じていたかを知っていると主張する学者の説からは、石器時代の宗教よりも、学者自…

サピエンス全史 上

「「狩りをする人類」という一般的なイメージに反して、採集こそがサピエンスの主要な活動で、それによって人類は必要なカロリーの大半を得るとともに、燧石や木、竹などの原材料も手に入れていた。 サピエンスは食べ物と材料を採集するだけにとどまらなかっ…

サピエンス全史 上 <原初の豊かな社会>

「あいにく、狩猟採集民だった私たちの祖先の暮らしに関して、確かなことはほとんどわかっていない。「古代コミューン」派と「永遠の一夫一婦制」派との論争は、薄弱な証拠に基づいている。 当然ながら、狩猟採集時代の記録文書など皆無であり、考古学的証拠…

サピエンス全史 上 第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし

「第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし 私たちの性質や歴史、真理を理解するためには、狩猟採集民だった祖先の頭の中に入り込む必要がある。サピエンスは、種のほぼ全歴史を通じて狩猟採集民族だった。 過去200年間は、しだいに多くのサピエンスが都市労働者…

サピエンス全史 上 <歴史と生物学>

「<歴史と生物学> (略) とはいえ、個体や家族のレベルでの違いを探すのは誤りだ。1対1、いや10対10でも、私たちはきまりが悪いほどチンパンジーに似ている。重大な違いが見えてくるのは、150という個体数を超えた時で、1000~2000とい…

サピエンス全史 上

「それとは対照的に、サピエンスは認知革命以降、自らの振る舞いを素早く変えられるようになり、遺伝子や環境の変化をまったく必要とせずに、新しい行動を後の世代へと伝えていった。 その最たる例として、カトリックの聖職者や仏教の僧侶、中国の宦官といっ…

サピエンス全史 上  <ゲノムを迂回する>

「言葉を使って想像上の現実を生み出す能力のおかげで、大勢の見知らぬ人同士が効果的に協力できるようになった。だが、その恩恵はそれにとどまらなかった。 人間同士の大規模な協力は神話に基づいているので、人々の協力の仕方は、その神話を変えること、つ…

サピエンス全史 上 <プジョー伝説(つづき)>

「もしプジョーの創業者一族のジャンが13世紀のフランスで荷馬車製造工場を開設していたら、いわば彼自身が事業だった。もし彼の製造した荷馬車が購入後一週間で壊れたら、買い手は不満を抱き、ジャンその人を告訴しただろう。(略) 彼は、工場のせいで抱…

サピエンス全史 上  第2章 虚構が協力を可能にした

「第2章 虚構が協力を可能にした (略) それどころか、サピエンスとネアンデルタール人との間の、証拠が残っている最古の遭遇では、ネアンデルタール人が勝利した。約十万年前、サピエンスの複数の集団が、ネアンデルタール人の縄張りだったレヴァント地方…

サピエンス全史 上   第1章 唯一生き延びた人類種

〇「タイガーと呼ばれた子」が途中なのですが、「サピエンス全史 上」の予約の順番がまわってきたので、こちらから先に読み終えたいと思います。 「サピエンス全史 下巻」を先に読み、上巻をその後で読むという、変則的な読み方になってしまいました。 「第1…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「火曜日の朝、シーラはもどってきた。(略) アレホはシーラを見て大喜びだった。シーラがドアから入って来ると、アレホの小さな顔がぱっと輝き、教室を走って行って両手を広げ、彼女に抱きついた。これには私たち全員が驚いた。アレホは何週間もずっと、何…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「夜中の二時頃だったと思うが、とうとうシーラをみつけた。彼女は町の思いがけない地域にいた。私たちの昔の学校からそう遠くないところにある住宅地を走る広い幹線道路沿いを歩いていたのだ。私がそこを通りがかったのは全くの偶然だった。(略) 「そうね…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「チャドの家は新築の美しい豪邸だった。三台分のガレージと脇にはテニスコートもあった。正直に告白すると、それを見た時、これが私のものになったかも知れないのだと、一瞬胸が後悔で疼いた。いや、あれは嫉妬だったのかもしれない。」 「リサはかわいらし…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「ここ、わかる?」 シーラはかすかにうなずいた。 「あの窓を見て。左から三つ目のところ。あそこが私たちの教室だったのよ」と私はいった。 その言葉をのみこむような沈黙が広がった。(略) シーラは首を振った。「あの公園に行こうよ。トリイが学校最…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「七月の初めにシーラの十四歳の誕生日がやってきた。サマー・プログラムが七月四日をはさむ四連休で中断する直前のことだった。八週間に及ぶこのサマー・プログラムのなかで誕生日はこれだけなので、ちょっとしたパーティーをやったらどうだろうか、と私は…