読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

私は女性にしか期待しない

「体罰 罰というのはルール違反をした人間をこらしめることです。ルールのよくわからない幼児は罰することができません。ガスコックをひねろうとする幼児の手をピシャリとやるのは、罰でなくて、その行為は痛みを招くという、条件反射をつくるためです。 懲…

私は女性にしか期待しない

「先生の組合 70年ほど前に私が小学校で習った先生がたのほとんどすべてを、今も尊敬し感謝しています。出身から言うと、京都市の人は例外で、大部分が府下の農村の生まれでした。当時は義務教育は小学校までで、資産のある家の子でないと、中学に行けません…

私は女性にしか期待しない

「保守政治 保守政治というのは、いまの社会のしきたりを続けて、急に変えない政治のことです。今の社会で企業がもうけ、男が幅をきかしているのを、守って行こうという政治のことです。 しきたりの力のつよい日本では、保守党がいばっています。しきたりに…

私は女性にしか期待しない

「Ⅲ 男のしていること 男の約束 子どもの時から知っている娘さんが、3年前結婚しました。当時26歳で、大学を出てからずっと商社につとめていました。 結婚に踏み切った理由のひとつは、相手が、 「キミ、働いていていいんだよ」 と言ってくれたからでした…

私は女性にしか期待しない

「離婚 離婚の理由は結婚の理由より明確なものです。結婚は十分に知り合っていない二人が、惚れ合って結びつきますが、離婚は十分に知り合った二人が、考えた上で離れるからです。 結婚は情動によりますから、ためらいませんが、離婚は理性によるだけ、ため…

私は女性にしか期待しない

「パート 女が家の外で働くことが、年々多くなっています。その働き方のサイクルがきまってきました。 学校を出たら会社に勤め、結婚して子供が出来たら、仕事を辞めて専業主婦になって育児にかかり、子どもが学校に行くようになって、またパートの仕事に出…

私は女性にしか期待しない

「残業 先日、ある小さな商社の、いわゆるキャリアウーマンに会いました。彼女は共働きで、夫は自由業、子どもは男の子一人、もう大学に行っています。商社は知的な仕事で、社員は男も女も大卒ばかりです。 彼女もごたぶんにもれず、20年前同時に入社した…

私は女性にしか期待しない

「もう少しゆとりを 岩波新書の「男と女 変わる力学」(鹿島敬著 ’89年)は、たいへん役に立つ本です。「日本経済新聞」の婦人欄を18年も担当された著者でないと、集められないデータが、たくさんでているからです。 女を総合職にとる条件の会社の本音が…

私は女性にしか期待しない

「子どもをとられる 学校から帰った子供が、宿題をやっていたり、童話や探検の本を読んだりしていると、親は安心します。 けれども、5時から7時まで、テレビにかじりついていると不安になります。 「テレビはいいかげんにやめなさい、ごはんですよ」 とい…

私は女性にしか期待しない

「コマーシャル なれっこになってしまうと、最初なら驚いたものに平気になる者です。 企業社会が私たちに及ぼしている力がそうです。からめとられているのに、しばられている感じがありません。 一億何千万もの国民を一人残らずからめるような網があるでしょ…

私は女性にしか期待しない

「テレビ学校 それは日本で一番大きい学校です。 赤ちゃんから年寄りまで入学できます。 出掛けて行かなくても、先生がきてくれます。 出席はとりません。きいてもいい、きかなくてもいいのです。 朝でも、夜でも好きな時に教室に入れます。 どの学校もこれ…

私は女性にしか期待しない

「安楽死 日本に住む私たちは、おくればせながら、敗戦のおかげで自我が確立されて、自分の生き方を自分で選んでいいことになりました。 けれども、デモクラシーの根本の、人間平等が生き渡っていないので、人生の最後のページを、自分の思うように閉じられ…

私は女性にしか期待しない

「シングル 赤ちゃん時代から診察室によくきていた娘さんで、30歳になっても結婚しないで勤めている人が増えました。どの娘さんも学校のよくできた子で、私の書いた本もよく読んでくれています。 たまたまあった時、尋ねてみますと、 「いい男の人がみつか…

私は女性にしか期待しない

「女のライフスタイル 先だって大阪の総評の婦人協議会が、女の労働者の退職の理由を調べました。トップは「出産・子育て・家族介護」で、全体の4割近くだったそうです。 これを男が、女の働けるように手伝わないからだと、いちがいに言えません。手伝って…

私は女性にしか期待しない

「企業としきたり 日本の企業はイエです。イエを支えるのはしきたりです。ですから企業は、しきたりから離れることができません。 しきたりでは、イエには「家父長」といわれる男がいて、あとのものにはイエの中の年功からきまった、位の順番があります。 順…

私は女性にしか期待しない

「Ⅱ 企業の力 日本の企業 イギリスやアメリカの企業と、日本の企業とは、たいへんちがいます。 企業に人をやとうとき、むこうは仕事のできる個人と契約します。仕事のできるうでを企業に入る前に、大学院とか、ビジネス・スクールとか、組合のつくっている訓…

私は女性にしか期待しない

「母性愛 子供を産み、乳をのませるのは、女にしかできません。母親になるということは、女の生物学的な宿命です。企業が支配し、男がそれを支えている今の社会では、女の生物学的な宿命を社会的な宿命のようにいいくるめます。 「女には母性愛がある。だか…

私は女性にしか期待しない

「個人 「個人」という言葉は明治になってから出来たもので、はじめは「一個人」といっていたようです(「日本国語大辞典」)。 何ものにもそくしない、ひとり立ちした人間がいなかったから、「個人」という言葉が、いらなかったのです。江戸時代のことを考…

私は女性にしか期待しない

〇 松田道雄著 「私は女性にしか期待しない」(岩波新書) 1990年発行を読み直しました。今、古本をどんどん処分しています。これも一旦は、捨てようと思ったのですが、もうしばらく持っていることにしました。 松田道雄さんには、育児書で本当にお世話…

アントニーとクレオパトラ

「クレオパトラ 私を助けておくれ! ああ、あの方は褒美の楯を貰いそこなって狂ったテラモンも及ばぬ、怨みのダイアナが送ってよこしたテッサリアの猪にしても、あれほど猛り狂いはしなかったろう。 カーミアン どうぞ御廟へ!錠を下ろしてお籠りになり、女…

アントニーとクレオパトラ

「クレオパトラ おお、アントニー、私の臆病な船の帆のおびえはためきを許して!附いておいでになろうとは夢にも思いませんでした。 アントニー 私のエジプト、知り過ぎるくらい知っていたはずだ。おれの心がお前の船の舵に堅く結びつけられていることを、そ…

アントニーとクレオパトラ

シェイクスピア著 福田恒存訳「アントニーとクレオパトラ」を読みました。 シェイクスピアは、恥ずかしながらほとんど読んでいません。 ロミオとジュリエットやハムレットは、一度は読み、オセロやリヤ王は、 チャレンジはしました。 でも、全く入り込めませ…

私の幸福論 (あとがき)

「_一人でもいい、他人を幸福にしえない人間が、自分を幸福にしうるはずがない 書き終わって見ると、少々心配になりだしました。私のいうことが、一応もっともだと思ったにしても、それではどうにも身動きできないではないか、そんな感じをいだく人が多いか…

私の幸福論 (十七 快楽と幸福)

「ギリシアの末期にエピキュリアニズムという哲学がありました。これはふつう快楽主義、刹那主義と訳されております。(略) ここで、快楽とはなにかということが問題になります。私たちの間では、それはあまりいい意味には用いられておりません。少なくとも…

私の幸福論 (十六 家庭の意義)

「すでに「職業について」「母性」「恋愛について」などの各章において、家庭について多少の暗示をしておきました。いまは家庭の意義について深く顧みなければならぬ時だと思います。私たちの文化において、私たちの生き方において、家庭の演じる役割が改め…

私の幸福論 (十五 結婚について) つづき

「それでも、ついに敗れるときもありましょう。その時は別れるよりほかに仕方はありますまい。(略) ただ恐ろしいことは、「理解」という美徳の信仰は、自分をも相手をも、自分が理解した小さな枠のなかに閉じ込めてしまうことです。(略) お互いに相手の…

私の幸福論 (十五 結婚について)

「どんな精神的な問題にも、契約や取引の面がともないます。結婚もその例外ではありません。大雑把にわけると、世間にも二種類の人間がいて、その第一類に属する人たちは、結婚は純粋に心の問題だと思い込んでいます。彼らにとっては恋愛と結婚との区別がな…

私の幸福論 (十四 ふたたび恋愛について)

「恋愛が観念的であることは、いっこうさしつかえありません。いけないのは、それが観念であること自体ではなくて、元来それが観念的であることを忘れていることであります。 恋愛につきものはなにかと言えば、それは幻滅でありましょう。この相手こそ、あら…