読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「空気」の研究

〇この後、山本氏は、ある宗教学専門雑誌に載っていた「興味深い一例」を挙げています。遺跡発掘で、ユダヤ人と共同で作業をしていた時、日本人だけが「人骨を発掘し所定の場所へ運ぶ」、という作業の影響で病人同様の状態になってしまったということがあっ…

「空気」の研究

「では一体この「空気」は、どのように醸成され、どのように作用し、作用が終わればどのようにして跡形もなく消えてしまうのであろう。それを探求する一つの手掛かりは、だれかが、何らかの意図のもとに、ある種の「空気」を意識的に醸成した場合である。」 …

「空気」の研究

〇 この後、山本七平氏は、「文芸春秋」(昭和五十年八月号)の記事「戦艦大和」を取り上げ、軍令部次長・小沢治三郎氏が「全般の空気よりして、当時も今も(大和)の特効出撃は当然と思う」と発言していることに驚いています。 「この文章を読んでみると、…

「空気」の研究

山本七平著 「「空気」の研究」を読んでいます。 何故日本はこうなのか。何故日本人である自分はこうなのか。それがずっと気になっています。 それで、ハンナ・アーレントの本も読んでみたのですが、もう少しこのことを考えてみます。 抜粋した文章は「 」で…

龍は眠る

宮部みゆき著 「龍は眠る」を読みました。 この本は、以前「海辺のカフカ」を買った時に一緒に古本屋で買いました。 テレビドラマ化もされているのかもしれません。見たことがあるようなストーリーでした。 「誰もが自分の中に一匹の龍を飼っている」という…

精神の生活 下 (付録 判断)

〇 もう少し判断について。 「判断、とりわけ趣味判断は、常に他者を考慮し…他者が下すと考えられる判断を考慮に入れる。このことが必要であるのは、私が人間であり、人々の共同体の外では生きることが出来ないからである。」 「このことをなるほどと思わせ…

精神の生活 下 (付録 判断)

〇 付録の「判断」もなかなか興味深いです。カントの思想をもとに書かれているので、やっぱりかなり難しいのですが、フランス革命の成り行きを[希望につつまれ]、 [情熱的に]見ていたカントの立場を、「単なる観客[観察者]の態度」としています。 「この事件…

精神の生活 下 (解説)

「この叙述の難解さによるだけでなく、そもそも、アーレントがハイデガーの文章のなかに、自分の思想と結びつく可能性を嗅ぎとろうとするほとんど強引といってよいほどの試みを行ったからである。」 〇 やはり、一般的にも難解だったのか…と少しホッとしまし…

ヤスパースとアーレント

〇ヤスパースの「哲学的自伝」より抜粋します。 「しかし科学的認識だけでは、心は満たされませんでした。真に科学的であるとは、おのれの限界を知っている批判的な知であります。」 「古い諺どおり、岸にいて泳ぎを論じても進歩はありません。われわれは水…

精神の生活 下

〇 佐藤和夫さんの「解説」を読んでいます。 あぁ、なるほど~ そういうことなのか…と、一つの文脈の中でそのことがどういう意味で語られていたのかが少しわかるような気がしますが、でも、ヘーゲルの思想の内容については、やっぱりわからない…という類の基…

精神の生活 下

「そこから分かったのは、「新しいローマ」を建国する希望は幻想である、ということのみであった。彼らがせいぜい希望しうることは、太古の建国を繰り返し「あらためてローマ」を創設することであった。」 「彼らは自分たちの「啓蒙された」時代における政府…

精神の生活 下

「ただし、アメリカ独立宣言とアメリカ合衆国憲法の中には、来世についてのどのようなほのめかしもない。世俗的な領域を教会から、同時期に、解放していこう動きのなかでは、現実には生きのびられると思われないような信仰にしがみつこうとする絶望的な企て…

精神の生活 下

「私たちはこの困難に対するヘブライ人の解決を知っている。それは造物主である神を仮定することである。」 「宇宙とその中にある万物がこの絶対的な一者であることに還元できる限りで、この単一性は時間の中で生きる人々の合理性を超えた何かに基づいている…

精神の生活 下

「ちょうど「最初、世界のすべてはアメリカであった」と述べたロックの証言のように、アメリカ合衆国の誕生を古来の伝説が真理であることの歴史的事例として使いたい気持ちにもなろう。」 「この時まさに、当初[政治的共同]活動を目的としていた人々が革命を…

精神の生活 下

「西欧文明の二つの創設の伝説_ひとつはローマのであり、もうひとつはヘブライの(ギリシア古代においてこれらに比較可能なものは何もないのであり、プラトンの「ティマイオス」でさえそうである)である_は、互いに全く異なっている。 ただし、どちらも、…

精神の生活 下

「我々が常に我々共通の世界の変革に従事する[政治的共同]活動は、私と私自身との対話の中でなされる思考という一人だけの仕事に対して、考えられるかぎり鋭く対立している。(略) しかしこれはけっして我々つまり活動の真の複数性に到達しない。(真理の保…

精神の生活 下

「そしてこの政府はすべて、何らかの形でその市民の自由意志を拘束する。それでも、一人の随意な意志が万人の生活を支配する専制の場合を除けばf、こうした政府は、活動のためのある自由な空間を切り開くのであり、この空間が実際に市民たちの制定された組…

精神の生活 下

「概念的に言えば、我々は哲学的自由の概念から政治的自由の概念に移っているのであり、私の知る限りではモンテスキューだけがこの明白な区別を語ったのである。 しかもこのことを、彼が哲学的自由を、それに対して政治的自由がより鮮明に輪郭を描くことがで…

精神の生活 下

〇この後のページも、ほとんど書き写したいところですが、コピーして手元に置くことにし、この中でさらに厳選して、メモしていきたいと思います。 「職業的に思考を営む人々は、哲学者であれ科学者であれ、「自由」がどうにも逃れがたく偶然にまとわれている…

精神の生活 下

「私は思弁的思考活動のばか騒ぎのことについては既に話した。それは知性の認識能力を超えて思考したいというカントの理性の欲求を解放しようとするところから始まったが、その後を継いだドイツ観念論者は概念を人格化して遊びとしてしまい、科学的妥当性が…

精神の生活 下

「あるいハイデガーの用語を使えば、実存論的に言えば人間という現存在は「自分自身に引き渡されている」という事実によって生じたのである。」 〇ここでも、あの水谷修さんの「夜回り先生」の中の言葉を思い出しました。 もう一度、書いてみます。 ********…

精神の生活 下

〇 16 自由の深淵と”時代の新秩序” 「この論述のまさに初めで、私は意志能力を批判的に吟味する際に避けがたい欠陥があることを警告した。それはかなり明らかなことであるが、個々の議論やそれへの反論を討議する際には、容易に見逃されてしまう。 つまり、…

精神の生活 下

「以上のことから我々はなじみの領域へと立ち戻ることになるのだが、それがはっきりするのは、この無秩序が「悲劇的」で人間責任を持つことのできないことである、という点を我々が理解した時である。」 「(いずれの定式化も、ついでに言えば、ドイツ人読者…

精神の生活 下

「要約しよう。われわれは依然として存在論的区別、つまり存在と存在者との概念的な分離にぶつかっている。しかし、この分離はいわば始まりと終わりを持つ一種の歴史として知られている。 始まりにおいて、存在は自己を存在者の中に開示する。そしてこの開示…

精神の生活 下

「ベルクソンに向かおう。彼は確かに自分より前の哲学者たちから影響を受けたのではなく、意識の直接的明証にしたがって、ハイデガーよりわずか数十年前に、二つの自己の<共‐存>、つまり社会的自己(ハイデガーの「世人」)と「根源的」自己(ハイデガーの…

精神の生活 下

〇 15 ハイデガーの「意志しない意志」 「今やこの「転回」は「存在と時間」におけるいわゆる主観主義に反対し、この著作が人間の存在様式である実存へ主たる関心を寄せていることに反対したのであった。」 「この意味で「転回」は、意志の拒絶とはほとん…

精神の生活 下

「彼は、「ものに意味がなくても十分やっていくだけの意志の強さと…無意味な世界に耐えて生きていける」存在者が住まうにふさわしい所与の世界を作ることにとりかかったのである。」 「「生成の無垢」と「永劫回帰」は精神の能力から引き出したものではない…

精神の生活 下

〇 14 ニーチェによる意志の拒絶 「進歩という近代的概念からすれば、当然未来を我々に向こうからやってくるものとして理解するのではなく、我々がそれを意志の投企によって決定するものとして理解するようになるのだが、(略)」 「一方、今日「実存主義…

精神の生活 下

「つまり、「前の世代が労苦に満ちた仕事をするのは後に続く世代のためだけであるように思え、最後の世代だけが[完成した]建築物に住む幸運にありつける、ということは常に我々を当惑させる」とカントは述べた。」 「この自由な思弁の究極目標は「たんに自我…

精神の生活 下

「こうして、我々の感覚は不十分だと証示する「新哲学」が「一切を疑い」、疑惑と絶望を引き起こす一方で、同様に明白な認識の全身運動が、人間が学び知ることができることについての法外な楽観論を引き起こしたのであった。」 〇まさにその通りだと思います…